我々がここに取り上げた、セット品5分野15製品に限定した用途で使用される25品目のモジュールによって構成される市場は2004年には2兆円を越える規模の市場を織り成している。現在は世界市場への展開と、競争激化の時代であり、一刻も早く、かつ安く製品を開発し市場に投入することが求められている。このような時代に製品開発期間を短縮し、開発コストを削減することを可能とするモジュールが巨大市場として開花することはいわば必然である。
モジュール市場の傾向は2つのパターンに大別される。そのモジュールを使用するセットメーカーにとって開発リソースを振り向けてでも技術的な囲い込みの必要な分野に関しては、カスタム色の極めて強い市場が形成される。一方で、コスト的な圧縮が目的となるモジュールの場合にはより汎用的で安く調達できることが最重要視される市場が形成されるのである。
また、一つの流れとしてモジュールの共有化の推進が活発に行なわれつつある。これはいわばプラットフォームとでも言うべき製品開発の土台をモジュールとして予め組み上げておき、そのうえに各機種にあった作りこみをしていくことでモジュール部分の開発の手間を省こうとするものである。同時に、モジュールを大量生産することよって生産コストの引き下げを図ろうとするものでもある。近年のデジタル家電のように製品寿命が短命化している製品の開発に有利であり、最近の開発トレンドの一つとなっている。
2004年までのモジュール市場の拡大は我々の予想を超えた規模に及んでいた。しかし、携帯電話をはじめ、すでに普及率が飽和点を迎えているといわれる製品が徐々に多くなってきているなかで、今後モジュール市場がどれだけ拡大していけるのかは疑問である。セット品の市場が落ち込めばそのセット品向けの製品市場も落ち込むのが道理である以上、変化こそが生き残りの方法となる。そこで本レポートでは次に来る技術、製品構成、マーケットトレンドを探ることに重点を置いた分析を行なっている。今後も市場で成長していくにはどうすればいいのか?新規に参入していくにはどの技術を押さえればいいのか?ぜひ本レポートから読み取っていただきたいと思う。
本調査資料では世界市場を舞台に繰り広げられる厳しい競争を勝ち抜いていくうえで欠かすことのできない、製品開発期間の短縮や低コスト化に対して大きな役割を担っているモジュール製品の市場動向を明らかにする。関連部材、組み立て技術、セット品の各方面から調査・分析することで、次世代のニーズに対応する製品へとステップアップしていくための指標を提供することを目的としている。