■このレポートには以下の最新版がありますデジタル家電サービス市場の将来展望 2006 (刊行:2006年02月27日)■関連したテーマを持つレポートがありますデジタルサイネージ市場総調査 2023 (刊行:2023年07月10日)
「デジタル家電サービス市場の将来展望」は2004年2月の初版から今回で2回目となった。「デジタル家電サービス」とは、コンシューマ向けインターネット接続機器全般を利用したネットサービスであるが、初回の資料をまとめた時には、PC、携帯電話以外のネット接続機器や、ましてやそれらを利用したネットサービスなどは殆ど存在しないため、サービス提供事業者の取材時に資料の意図がなかなか伝わらずギャップを感じるところが多かった。サービス提供事業者にしてみれば、現状のPCや携帯電話向けのビジネスに手一杯で、まだ世の中に存在しない、また将来普及するかも分からないネット家電向けのビジネスを想定している事業者は、資料で取り上げた範囲では殆ど見られなかった。サービス提供事業者だけでなく、弊社においても、デジタル家電サービス市場算出にあたり、現状のPC・携帯電話を利用したBtoC電子商取引市場を参考にしている。
しかし今回は、前回より当該市場を取り巻く環境に1年の進展が見られ、着実にデジタル家電サービス市場創出に向かっていると感じられた。家電メーカーからはネット接続機能を持つ家電やカメラとそれを利用したサービスの商品化が増加している。住設機器メーカーや電力・ガス会社等のネットワーク機器やそのサービスも認知度が高まっている。新築マンションでは、携帯電話による住設機器の遠隔操作やセキュリティサービスが標準搭載される等導入が拡大している。それに呼応して、警備員の駆け付けサービスを提供する警備会社でも、従来のサービスを見直しローコスト化を図ったり、ネット活用による「自己完結+サポート」型の新サービスを投入する等の動きが強まっている。また、松下電器産業のデジタルTVのインターネットサービス「Tナビ」は、この1年で対応機器の出荷が100万台を突破、提供サービス数も100を超え更に増え続けている。同社では今後、デジタル家電へのネットワークサービスを事業化していく構えだが、今後、生活インフラとして普及することが予測される。また、ホームネットワーク推進団体においても、設備系ネットワークを推進するECHONETや、情報家電とブロードバンドによる新市場創出を図るUOPF等、それぞれホームネットワークやそのサービス実現のため着実に準備が進められている。
2回目となる今回も、資料の基本となるコンセプトは変わっていない。即ち、1. デジタル家電サービスを提供するデバイス(端末)は限定しない、2. BtoC電子商取引における物販・有料コンテンツ以外の各種サービスを主対象とする、3. デバイス(端末)メーカーと各業界におけるサービス提供事業者との異業種提携、の3点である。当該市場にまだそれ程大きな変化が見られないことから、今回は調査対象企業を前回と異なる企業を対象とするべく留意した。その結果、対象企業50社(家電メーカー7社含む)のうち、8割に当たる41社の前回と異なる企業の事例が抽出できたことと、各業界における前回対象の企業と競合する企業が多く含まれているところが、今回の大きな特徴である。
今後、PC・携帯電話に続き白物家電やAV機器、住設機器等の多数のノンPC機器が存在するようになる。それらを利用したネットサービスもPC・携帯電話向けのそれとは異なる、多くの新しいサービスが登場してくるはずである。現在、BtoC電子商取引市場は6兆円前後までに成長した。今後、ノンPC機器の爆発的な増加によって、更に巨大な市場が予測される。デジタル家電サービス市場創出には、一般の利用者が簡単にかつ安心して利用でき、また、多様なサービス提供事業者が容易に参入できる、オープンなサービス市場の構築が待たれる。そうした本当のデジタル家電サービス市場の現出はまだ先となりそうであるが、その時こそ、人々の生活をより高度により豊かにするユビキタスネットワーク社会が実現するといってもいいのではないだろうか。
本調査資料は急速に普及しつつあるデジタル家電のコンシューマ向けネットサービスに焦点をあて、各業界主要企業における現状のコンシューマ向けネットサービスの取り組みや、市場分野別のコンシューマ向けネットサービスの動向等から、今後の“デジタル家電サービス”市場予測を行うことを目的とした。