機能性塗料・コーティングはその特性を活かし、建築・土木材料、自動車、エレクトロニクス部材、電化製品、日用品など幅広い分野で使用されており、耐候性や耐熱性、防食性などの機械・化学機能を始め、光学機能、電気・電子機能、熱的機能等の機能を被塗物に付与する役目を持つ。
機能性塗料・コーティング材を塗布・コートすることで、被塗物の高付加価値化・高品質化に貢献しており、更なる研究開発・製品改良を行なうことで、使用範囲の拡大が図られている。
研究開発・製品改良では機能性向上、新機能付与はもちろんのこと、近年では特に環境対応が重要なテーマとなっており、VOC対策を筆頭に、有害物質対策、リサイクルなどの環境・安全性向上に向けた取組みが目立っている。
いずれの問題も以前から課題として挙がっていたが、シックハウス・シックスクール問題、地球温暖化などがクローズアップされていく中、欧米諸外国に遅れながら、日本でも包括的なVOC規制が開始されることが決定し、特にVOC対策・脱VOCの動きが近年加速しているといえる。
塗料の弱溶剤化、水性化、ハイソリッド化、粉体化のほか、塗装機器や塗装ラインの改良などにより、対策が進められている。
そのほか、塗料ユーザーの海外生産・グローバル化が一般化しており、特に自動車では同品質の製品を世界各地で求める傾向があり、塗料メーカーの海外生産化、技術提携等が進んでいる。
光学機能や電気・電子機能等、エレクトロニクス部材に使用される機能性コーティング材料では、日本メーカーが主導しているケースが多く、同分野でもグローバル化が進展している。
当調査レポートでは上記背景を踏まえ、前回版「2003年版 機能性塗料・コーティングの現状と将来展望」のデータを見直し、最新の機能性塗料・コーティング市場の現状及び今後の方向性を明確化することを目的とした。
本調査レポートが関連各位の事業計画策定や製品開発、マーケティング活動等、塗料・コーティング業界全般に亘るベースデータとして活用頂ければ幸いである。