◆市場調査レポート:2005年04月13日発刊

2005 テレビ・放送市場総調査

地上波・BS/CS・放送/光アクセス・BB/携帯/移動体…“ユビキタス”インフラ
−調査の背景−
  • 地上デジタル放送の開始や、PDP、LCDの薄型テレビが良く売れていることなど、この分野で一般に聞こえてくる話題は、何となく期待が膨らむような比較的明るい雰囲気があったが、突如テレビ局を“乗っ取ろう”という企業が現れたことで、ここにもなにやら世知辛いものが加わるようになった。これも注目度という点では、テレビと放送が高い位置にあることの表れととることもできる。

  • テレビ局の買収は、10年ほど前に民放キー局の一社が海外のメディア企業と国内のIT系企業に仕掛けられたことがあったが、この件は双方の話し合いの結果短期間で収束した。買収側が取得した株式を、対象となったテレビ局の関連企業に売却して一件は落着した。これは、日本でCSデジタル放送“パーフェクTV”が開始されて間もないころであり、新しい放送事業によって従来のメディアの環境が一変するかのような感覚がもたれていた時期である。買収を仕掛けた側も、英国その他の地域で成功した勢いで、日本でもCS放送を開始しようとして何かと話題となっていたときである。

  • その後、CS放送の伸びや、在来の放送やその他のメディアが充足している状況下において、新しいメディアの市場性が再検討され、結果は限られた市場に新規参入するより、先行の事業者に資本参加し一つのインフラで共に事業を進めるという方法が取られるに至った。現在のスカイパーフェクTVであるが、事業形態や資本関係はこの時でき上がったものである。(SKY系としてソフトバンク、ソニー、フジテレビが資本参加。これ以後、スカパーの愛称ができ、TVCM、ロゴマークも一新され、訴求力は増大し加入件数も増加した)。

  • この一件は、既存のメディアが定着している中、新しいメディアがどの程度介在できるものか証明した事例である。また、地上放送のように歴史が古く、長い時間の中で事業構造がつくられ、視聴者とは量的に把握しにくい文化的な関係が築かれている事業に対し、異業種企業が参入することの手間や難点、その意義、必然性の有無が示された一件である。なお、CS放送にはもう一社ディレクTVがあったが、その後これも事業を解消している。

  • そして、改めて今回テレビ局への買収工作だが、こうした経緯がある中で「なんでまた?」という感があった。仕掛けた以上、“取るか”、常套の“株価を吊り上げて買戻しを迫るか”、以外に選択肢はないのだが、“通信と放送の融合”や、“ネットでいろいろできる”など、10年前ごろよく聞いた文言から一歩も出ない理屈や、「提携」を、後付けで述べ始めたあたりで、同じ実業の世界であっても“住む世界の違い”や、法制度とは別の“タブーや仁義”といった、アナクロな感覚の存在を感じ始めたように見受けられた。この件は収束に向かいつつあるようだが、取得したのが“アナクロ感覚が魅力”のAMラジオ局のみとなると、“話題のIT企業とAMラジオ”という、おそらく想定外のユニークな事業グループが形成されることになる。しかし、今後この一件が、IT系ベンチャや、インターネットの印象おいて、悪影響となることも懸念される。特に、インターネットは映像コンテンツを扱う業種として、インフラとして発展途上にある中で阻害要因の一つになることもあり得る。

  • さて、地上デジタル放送は2003年12月の開始から1年3ヶ月が経過したが、昨年の同じ時期に比べ、懐疑的あるいは揶揄する見解は聞かれなくなった。デジタル放送への関心の有無に関わらず、PDP、LCDの薄型TVの需要が本格化し、メーカーのラインナップも一新されてきている。一方の放送側は後発の地方局でも2006年12月にデジタル放送を開始することになり、全体的に計画が前倒しできる方向にある。

  • 放送は、一般の生活環境に根ざした情報インフラであり、これをどこでも見られるようにすることは、取りも直さず“ユビキタス”の環境を構築することになる。周知の通り、地上デジタル放送は、1セグ放送と呼称する携帯電話で視聴できる計画があるが、これについては2006年3月を開始の最終期限として先行するTV局が実施する。その3ヶ月前の2005年12月から、各テレビ局で設備(エンコーダ他)が導入される。業界の表現では、2005年12月〜2006年3月の期間内で、1セグ放送開始となっている。大半は最終期限近くの実施になると見られるが、一部のTV局では2005年12月から開始する可能性がある。

  • 2005年末以降の携帯電話は、現行のカメラ同様TVが標準的な機能として搭載されて行くものと予測されるが、中でもTV事業を有する携帯電話メーカーの場合、TVのブランドと連動した商品企画や事業戦略もありうるものと見られる。これで、TVという商品の範疇は、リビングのTVから個室のPC、移動中の車のコンソール、そして、この携帯電話への搭載により、個人の手元まで一連の視聴環境が整うことになる。この件は、当レポートでも'99年から触れてきた事柄であるが、地上デジタル放送の開始によって現実のものとなった。TVの視聴環境は一気に拡大し、結果としてユビキタス環境の創出に帰結する。

  • 地上デジタル放送に関する話題は、最近では一般でも語られるほど知られるようになったが、来年以降はその効果をさらに実感することになるだろう。先述のテレビ局買収にからめて放送とBBの特性解説、1セグの動向など踏まえてTVと関連市場を一冊にまとめた。本文で確認いただきたい。


−調査目的−
  • 本調査レポートは、デジタルインフラストラクチャのうち、テレビ(受像機)と放送、通信を対象とし、放送インフラ、通信インフラからそれらを取り巻くハードウェアとインフラ市場を調査・分析したものである。

  • 今後のデジタルコンテンツ市場をインフラ側から広範囲に把握し、将来展開すべき方向性を示唆することを目的とした。


−調査対象−
インフラストラクチャ

放送
地上デジタル放送、BSデジタル放送、CSデジタル放送、CATV、1セグ放送、ブロードバンド放送、衛星ラジオ/モバイル放送

通信
光ファイバ、xDSL、CATV、無線、CDN

ハードウェア

パッケージ系機器
TVゲーム機、DVDプレーヤ/HDD・DVDその他レコーダ、他

放送系機器
TV受像機、CATV、BSチューナなどSTB(セットトップボックス)類、他

−調査対象先−
ハードウェアメーカー
CDN/アグリゲータ
情報、通信関連機関、団体
放送系プラットフォーム
通信系プラットフォーム
委託放送事業者
その他

−目次−
I. テレビ・放送関連市場の動向(1)

1. 2005年の放送環境(3)
1)概況(3)
2)日本のメディアの構成・各放送の位置付け:放送ないし放送的メディアのヒエラルキ(6)
3)放送とBB-IP・放送とネットの性格の違い(メディア比較)(7)
(1) 果物の表皮で解説(7)
(2) 外部から見たテレビ局(キー局)と背後にあるもの(9)
(3) コンテンツ関連業界(外部から見えない世界)(10)
4)テレビ放送の現状(12)
(1) 日本と諸外国の地上放送デジタル化(12)
(2) 日本の地上放送デジタル化(13)
5)海外主要各国の放送(15)

2. 国内テレビ放送の動向(17)
1)地上デジタル放送の動向(17)
(1) 地上デジタル放送スケジュール(17)
(2) 地上デジタル放送開始時期(18)
(3) 2005年時点の現況(24)
(4) 地上デジタル放送視聴予測(25)
2)BSデジタル放送の動向と視聴予測(27)
3)CSデジタル放送の動向と視聴予測(29)
4)CATVの動向(30)
(1) CATV市場規模推移と予測(30)
(2) 参考データ:ブロードバンド加入数の推移(予測)(32)
(3) CATV業界の競合対策(33)
5)BB-IP・ブロードバンド放送の動向(34)
(1) ブロードバンド放送市場規模推移(34)
(2) ブロードバンド放送の概念(35)
(3) サービス企業一覧(38)
(4) ブロードバンド放送参入企業(42)
(5) ブロードバンド放送とコンテンツ・ビジネス(43)

3. テレビ局調査票(45)
1)地上キー局(45)
(1) 日本放送協会(NHK)(45)
(2) 日本テレビ放送網(49)
(3) 東京放送(TBS)(53)
(4) フジテレビ(58)
(5) テレビ朝日(62)
(6) テレビ東京(67)
2)地上地方局(71)
(1) 讀賣テレビ放送(YTB)(71)
(2) 毎日放送(MBS)(75)
(3) 関西テレビ放送(KTV)(79)
(4) テレビ神奈川(TVK)(83)
(5) 京都放送(KBS)(87)
(6) 北日本放送(KNB)(92)
(7) テレビユー福島(TUF)(96)

4. 受信機の動向(101)
1)地上デジタル放送:インフラの整備と関連機器の影響ロードマップ(2011年にアナログ放送は現実に廃止可能)(101)
2)デジタルテレビラインナップの今後(103)
(1) 地上デジタル放送:一般社会の認知の変化(アナログ放送終わらせたい→アナログ放送終わります)(103)
(2) 地上デジタル放送開始前倒しの影響(精神的影響が大きい)(103)
(3) TV(受像機)ラインナップへの影響(104)
3)主要各社のデジタルTV機能(107)
(1) 機能の概要(107)
(2) 主要TVメーカー各社の展望:TV市場と機能(109)
(3) 主要TVメーカー調査票(111)
   A. 松下電器産業(111)
   B. 東芝(117)
   C. 日立製作所(122)
   D. 三洋電機(126)
(4) 16:9(横長ワイド)TVの年間販売数量・20年間の実績と予測(1990年〜2010年)(日本の年間TV販売約900万台に対する推移)(129)
4)移動体放送受信機(携帯1セグ、モバイル放送(株)サービス、クアルコム:メディアフロー)(131)
(1) 携帯電話:1セグ(1セグメント)放送受信(TVケータイ)(131)
(2) モバイル放送(134)
(3) メディアフロー(MediaFLO)(137)

II. CATV(141)

1. ケーブルテレビの概要イメージ(事業者規模と加入世帯数規模)(143)

2. ケーブルテレビの現状(145)
1)国内のCATVサービス普及状況と予測(145)
2)2004年〜2005年のCATVに関するトピックス(148)
3)2004年におけるCATV業界の動向(150)

3. ケーブルテレビ向け放送コンテンツ(151)
1)ケーブルテレビ向け視聴世帯数の多い主要チャンネル(151)
2)CATV受信/直接受信それぞれが占める視聴世帯数の比率(上位10チャンネルについて)(153)

4. 国内ケーブルテレビ事業者数(155)
1)施設規模別事業者数(155)
2)施設規模別加入世帯数(156)
3)自主放送を行う事業者数(157)
4)事業規模別事業者数(158)
5)ケーブルインターネット接続サービス提供事業者数(159)
6)加入世帯数上位のケーブルテレビ事業者一覧(160)

5. 個別調査票(161)
1)ジュピターテレコム(161)
2)ジャパンケーブルネット(167)
3)イッツ・コミュニケーションズ(172)
4)東京ケーブルネットワーク(177)
5)アットネットホーム(182)
6)キッズステーション(188)
7)スカイ・A(192)

III. ブロードバンド(195)

1. インターネット接続サービス市場の現況(197)
1)月別ブロードバンド加入数の推移(実績)(197)
2)年別ブロードバンド加入数の推移(予測)(198)
3)インターネット接続サービスの市場規模推移・予測(ブロードバンドインフラの普及状況)(199)

2. コンテンツ配信サービス(コンテンツデリバリーサービス)市場(200)
1)サービスの定義(200)
2)サービスの現況(200)
3)市場規模推移と予測(201)
4)市場の方向性(202)
5)主要参入企業とサービス一覧(202)

3. インターネット向け動画サービス市場(203)
1)サービスの定義(203)
2)サービスの現況(203)
3)市場規模推移と予測(204)
4)市場の方向性(205)
5)主要参入企業とサービス一覧(205)

4. 動画サービス事業者の動画コンテンツ配信状況(206)
1)ポータル事業者とISP事業者のサービス概要(206)
2)大手ポータルサイトの動画配信サービス(ブロードバンドコンテンツ)展開状況(207)
3)各ポータルサイトにおける人気動画コンテンツとそのジャンル例(208)
4)「冬のソナタ」を起点とした韓国ドラマの国内での流通過程(209)
5)インターネット向けスポーツコンテンツ(プロ野球)の配信状況とその取り組み(210)

5. 個別調査票(211)
1)Jストリーム(211)
2)宇宙通信(216)
3)パワードコム(221)
4)キャスティ(225)

IV. ハードウェア市場(227)

1. ハードウェア市場まとめ(229)
1)テレビ全体市場(229)
2)ホームシアターシステム市場(233)
3)プレーヤ/レコーダ全体市場(235)
4)家庭用ゲーム機市場(237)
5)チューナ/STB類全体市場(238)

2. ハードウェア別市場(239)
1)テレビ市場(各画面サイズ別)(239)
(1) 4:3テレビ(239)
(2) ワイドテレビ16:9(241)
(3) ハイビジョン・デジタルテレビ(243)
(4) プラズマテレビ(247)
(5) LCDテレビ(253)
(6) リアプロジェクションテレビ(260)
(7) SEDテレビ(264)
2)非テレビ市場(265)
(1) 1セグ受信携帯電話(265)
(2) モバイル放送受信機(266)
(3) カーNAVI/TV(269)
(4) パソコンTV(273)
3)ホームシアターシステム市場(277)
(1) ホームプロジェクタ(277)
(2) スピーカシステム(281)
(3) アンプリファイヤ(285)
(4) ホームシアターパッケージ(290)
(5) スクリーン(295)
4)プレーヤ/レコーダ市場(298)
(1) VCR(298)
(2) DVDプレーヤ(302)
(3) DVDレコーダ(306)
(4) ホームサーバ/ホームルータ(311)
5)家庭用ゲーム機市場(313)
(1) 家庭用ゲーム機器(313)
6)チューナ/STB類市場(318)
(1) 地上/BSデジタルチューナ(318)
(2) CSデジタルチューナ(320)
(3) CATVホームターミナル(322)
−お問い合わせ・お申し込みについて−
調査資料名
2005 テレビ・放送市場総調査

頒価
106,700円(税抜 97,000円)

発刊日
2005年04月13日

報告書体裁
A4版 原本コピー簡易製本

ページ数
325ページ

担当部署
株式会社富士キメラ総研 第二研究開発部門
TEL. 03-3241-3490 FAX. 03-3241-3491

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